Aさんは入院前も入院の後も、保険料負担をずっと続けています。実際にかかった医療費などは約10万円です。それをカバーするために、継続的に保険料を払い続ける必要があるかどうかを見極めましょう。

もし、医療費や介護などの不測の事態に備えて、毎月1万円ずつ自前で「保険貯蓄」をしたとすれば、元本だけで5年間で60万円、10年間で120万円の保障が得られます。これは診断書も審査も不要なオールマイティーの保険です。同じ金額を保険料として支払った場合、契約で決まった範囲の時しか使えない、不自由なお金になってしまいます。

 将来は不確実で、入退院を繰り返すかもしれないし、元気で長生きするかもしれません。通院だけで医療費がかさむかもしれません。どのようなケースにも対応できるように、何にでも使える貯蓄を基本にし、民間医療保険は補完的役割にとどめておいた方がよさそうです。

 入院給付金は入院すれば必ず受け取れるとは限りません。入院給付金が支払われる入院は治療目的に限られ、検査入院は対象外。むち打ち症や腰痛で他覚所見のないもの、精神障害や泥酔による事故を原因としての入院など、入院給付金を支払わない場合を定めた「免責事由」があることにも注意が必要です。

 例えば、生活習慣病における教育入院をした場合、生活改善の指導だけで、全く治療を行わなければ入院給付金は支払われません。しかし、治療も併せて行うとなれば入院給付金が支払われます。支払うか支払わないかの判断は、医師の診断書を見たうえで保険会社が行います。