約150年前にカナダ東部沿岸の約4億年前の地層から初めて発見されて以来、論争の的となっていた全長8メートルにも達する正体不明の細長い化石が、巨大なキノコの仲間(菌類)だったことが米シカゴ大などの研究でわかった。

 当時最大の陸上生物で、巨木のように一際高くそびえていたと推定され、シダ類などの植物の陸上進出が本格化したとされる当時の生態系に対する考え方を一変させる発見だという。米地質学会誌の5月号に発表される。

 化石は世界各地の約4億2000万〜3億5000万年前の地層から複数見つかっている。根も葉もない幹だけの本体の内部に、養分や水を運ぶ細い管が無数にある。発見当初は木の幹と考えられたが、管の様子が通常の植物とはかなり違っており、その後はコケ、海藻、菌類などの諸説が長年の論争となっていた。

 研究チームは、サウジアラビアなどで見つかった保存状態のよい化石の詳しい分析に加え、化石に含まれる炭素の同位体を調べて、菌類と断定した。

 植物は、大気から二酸化炭素を取り込み、光合成をして体を作っているため、同位体の含有量が一定の比率を示すが、この化石には光合成の影響が見られず、どの植物とも同位体の比率が異なっていたという。