量子論相対性理論の融合は多くの研究者によって試みられている。その1つが「ループ量子重力理論」だ。この理論では,物質が原子からできているように,時空は“時空の原子”からできているという。この理論の驚くべき帰結の1つは,宇宙初期のような超高密度な状況では,重力が引力ではなく斥力に変わってしまうことだ。空間の原子に蓄えられるエネルギーに上限があるため,上限を超えてエネルギーが詰め込まれようとすると空間の原子は反発し,斥力が生まれるからだ。この反発的重力のために,ビッグバン特異点のように1点に集中し密度が無限大になるといったことがなくなる。