炭酸ガスが送り込まれ、約20秒で犬たちは意識を失い始め、約50秒後、最後の秋田犬が天を仰ぐように首を持ち上げて、倒れ込んだ。

 別室では、あの母犬と子犬たちが麻酔注射による処置を受けていた。成犬は通常、ガスで処分されるが、最期は母子でとの職員の精いっぱいのやさしさだった。導入麻酔で意識がもうろうとした母犬を職員がやさしくなでる。親子を隔てていた壁を取り去ると、母犬はふらふらしながら子犬たちに寄り添い、2度目の麻酔で母子は眠るように逝った。