つまり、「励ます」ということは、「頭」の《意志》による自己コントロールを再び強化せよと言っているわけですから、ストライキに対して軍隊を向けるようなもので、事態が泥沼化するのは明らかです。しかも患者さんの「頭」は、「自己コントロールが十分に効いて有意義な活動ができるような自分でなければ、自分には価値はない」という考えを持っていることが多いため、励まされても思うように動かない自分自身を情けなく思い、いっそう自己嫌悪に陥ります。これが場合によっては、自殺願望を強めてしまう恐れもあるわけで、だからこそ「励ますこと」が危険なのです。