特に大きな噴出孔の近くでは付近の水温は急激に変動する。そうした変化にすぐに対応できない生物はここでは生きていけない。地球上で最も熱に強い生物はポンペイワームだろう。このワームは、群れ全体がブラックスモーカーのすぐそば、噴出孔の煮えたぎる海水が噴き出す中に生息している。デラウェア大学の海洋生物学者クレーグ・ケアリー氏が集めたデータから、この環形動物が生息する海水の温度は65度で、75度をはるかに超えてもしばしば生存していることが明らかになった。従来、多細胞生物は温度が54度を超えると生存できないと考えられていたが、こういった環形動物はそのような環境でも当たり前のように生きているとケアリーは見ている。