研究チームの一員で、イギリスにあるロザムステッド農業試験場の化学生態学者ジェームズ・ローガン氏は次のように話す。「メスが産卵に必要な血液を狙っているときには、普段の食物(樹液や花の蜜)に対して何の興味も示さない。ディートを体にまとった人間は、カにとっておいしそうなにおいがしなくなるのだ」。

 しかし今回の研究で一部のネッタイシマカ(学名:Aedes aegypti)が、ディートの虫よけ剤を塗った人からも前と同じように吸血するようになったと判明した。ネッタイシマカデング熱や黄熱病を媒介する種である。調査の結果、遺伝子の変異により、カの触角にある感覚細胞がディートを感知しなくなっていたことがわかった。