こうした漁港の中で、中之作地区だけは、外見上はほとんど震災の被害が見られない。小名浜漁港と豊間地区の二つの地区は被害が甚大だったが、その中間にある中之作地区は、地形が津波をうまく防いでくれたようだ。むろん、船を係留する港と岸壁、その関連施設は相当な被害があり、ほとんど壊れている。しかし、集落は他の地域と違い、道路に瓦礫や壊れた家具などが散乱していない。港と並行してある生活道路が一段高い場所にあり、住宅地はその先の傾斜のある場所にあるため、屋根などの被害は多少あったものの、津波は大丈夫だったとのことだ。義姉の親戚が住んでいるが、昔から避難しなくても大丈夫だとの言い伝えがあり、今回も避難をせずに、無事だった。詳細を調査したわけではないが、地形だけではなく、先人達の知恵もあったのではないかと思う。