Kramer氏らによれば、濃度の異なる水溶液を隔てる半透膜にあいた穴は、溶質が通過するには小さいので、溶質はこの半透膜にぶつかるたびに跳ね返されることになります。この跳ね返された勢いは、溶質の周囲の粘性によって、溶媒分子も一緒に跳ね返された方向に動かすのだそうです。するとたまたま半透膜の穴から顔を出しかけた溶媒分子も一緒にその勢いで引っ張り込まれることによって移動するというのが、正しい解釈のようです。溶質濃度が濃い側の方が、多くの溶質が膜にぶつかり、跳ね返される結果、溶媒を引っ張り込む力も強くなり、その結果、溶質濃度の低い方から高い方へ溶媒が移動するというわけです。溶質が半透膜にぶつかるのは、溶質のランダムな運動、すなわちブラウン運動によるため、浸透圧の原動力は、このブラウン運動にあると考えられるようです。