ところで、動物の体のサイズにはばらつきがあり、同じ種でもサイズが違うこともしばしば見受けられます。しかし、一般的には体のサイズに大小があっても同種や近い種であれば、頭や胴、足などの大きさの比率は体のサイズに対して一定です。これをスケーリング(相似形維持)といい、多様な動物に共通して認められます。より顕著な例としては、アフリカツメガエルの初期胚から腹側の部位を切除して、シュペーマンオーガナイザーがある半分サイズの胚を成長させる実験があります。すると不思議なことに、脳や腹部などの組織も半分の体積に縮小し、相似形が保たれた2分の1サイズのオタマジャクシが生まれます。もし、コーディンなどの指令因子の濃度の高低によって組織形成が誘導されるならば、半分サイズの胚では体のサイズに比べて大きな脳が形成されるはずですが、そうはなりません。