何か苦しい問題に直面すると、「苦しまないこと」がゴールになってしまい、自分自身と向き合うことをやめ、できるだけ楽な方法で問題を回避してしまうのです。

この男性社員の場合、何度か話す機会を重ねていくうちに、「うつ」と診断されることが自分にとって楽になる手段だと気づきました。自分が周りより仕事ができないということは、何より見たくない現実でした。しかし、それを受け入れて、「自分は周りよりも仕事ができないけれど、それを少しでも変えていけるように失敗しながら頑張ろう」と思うようになりました。やがて、彼の半年以上に渡って続いた咳は収まり、精神的にも安定して、仕事に取り組めるようになったのです。