例外的な処理に弱い……というのは、特定の条件を満たす場合にのみ別の処理を行う……といった処理を扱いにくいという意味である。「例外的な処理」の具体的な説明は、過去に筆者が書いた記事にあるので引用しよう。

XMLデータベース開発方法論(1)
序章、データ処理技法の地政額 Page 2/4

■例外的処理こそが重要である

 1980年代、筆者は「ドラクエ」で有名なエニックス(現スクウェア・エニックス)でプログラミングの仕事をしていた。そのころ、エニックスには、マニア上がりのすご腕のプログラマが何人もいて、技術を競っていた。また、パソコンのスペックが貧弱であるために、職人芸的なすご腕がなければ成立しないソフトも多かった時代である。このような時代、彼らと話していて必ず同意する話題があった。それは「例外的処理が重要」という考えであった。ここでいう「例外的処理」とは、最近のプログラム言語が備える「(try構文などで使用される)例外」のことではなく、基本的なルールから外れた特殊な処理のことをいう。

 例えばゲームの例でいえば、シナリオの都合上、通常の処理とは異なる例外的な処理がしばしば要求される。弾が当たればダメージを受けるというのが通常の処理だとすれば、シナリオ上勝てないとされた強敵と遭遇した場合だけは弾が当たってもダメージを受けないようにするのが例外的な処理に当たる。通常の処理を短くエレガントに記述するのは容易なのだが、例外的な処理はまさに例外的であるために、短くエレガントにまとめられないことが多い。しかし、だからといって長々と泥臭いコードを書いていては、貧弱なスペックの当時のマシンでは実行できなくなってしまう。つまり、「例外的処理が重要」ということになるわけである。