僕はつぶやいた。

「あの時、押し間違えたボタンはどうすればキャンセルできるのかな。」

18階が開き、そして誰も乗り降りしないまま、ドアが閉まった。

「押し続ければいいんじゃない?まだキャンセルは効くみたいよ」

なるほど。

そして、僕は黙って彼女の唇に唇を押し当てた。あの時押したボタンがキャンセルされるまで、ずっと。