くだらんこと、というのは、よく考え直してみれば結局双方とも、その主張に誤りも正しい点もある、ということで、わざわざ口論によって時間やら体力を消耗するにはくだらない、という意味だが、わざわざ相手がキレたということは、相手自身はそうは思っていないということでもある。それがいかに非経済的かがわかれば口論もなくなるだろうが、二十代も過ぎた人間の考えを変えさせようというのは不可能に近い。

軽い気持ちで念押しに言った一言で、あんたは妻の私を信用していないのか、信じられない、別れる、などと水をひっかけられたナトリウムのごとく炎上するのだが、以前でこそこんなことで別れられてはたまらないと、慌てて取り繕ったりなだめたりしてみたものの、概ねそれは逆効果であることがわかりつつある。だいたい自分でも納得しきれないことを謝る、というのはどうしても不自然な謝り方になるので、最終的には無意味だったりする。