この新たな観測結果によって、太陽系の中で生命を探す対象として、タイタンが最もふさわしい場所の1つであることが確認された。一部の宇宙生物学者は、タイタンの炭化水素の湖に生命が存在する可能性がある、という仮説を立てている。ただしそれは、水を必要とする地球上の既知の生命とは大きく異なるはずだが[タイタンでは水蒸気も確認されている]。

エタンと液体が混ざったこの湖には、窒素やメタンなど、エタン以外のさまざまな炭化水素が含まれているとも考えられている。

探査機『カッシーニホイヘンス』が、光を反射させる方法でこの液体の化学組成を特定した。この方法は分光法と呼ばれるもので、他の惑星の大気組成についてのほとんどの情報は、この手法で入手されている。

「これを初めて見たとき、これほど黒いという事実は受け入れ難いものだった」とBrown氏は語る。「湖に届いた光の99.9%以上が戻ってこない。これほど暗いということは、表面は非常に静かで鏡のように滑らかなはずだ。自然な過程で作られた固体がこれほど滑らかなはずはない」