気管支喘息の早朝増悪の抑制などに用いられている、経皮吸収型β2刺激薬のツロブテロール貼付薬。1998年に発売された先発品「ホクナリンテープ」の再審査期間が終了したことから、2006年7月に後発品の販売が始まり、現在、その数は12種類に上る。

 藤田保健衛生大客員准教授で、尾洲病院(愛知県一宮市)呼吸器内科の宮崎淳一氏は、同薬の後発品を採用した医師の一人だ。しかし、十数例で先発品から後発品に切り替えたところ、2例で思わぬ増悪をみた。

先発品に戻したところ、速やかに回復
 最初の症例は、ステップ2(軽症持続型)の70歳女性。フルチカゾンとホクナリンテープを3年以上使用し、発作もなくコントロールされていた。

  07年5月に肥満と糖尿病のコントロールのため同院に入院し、6月8日にホクナリンテープを後発品に変更した。その2日後に早朝の咳発作、呼吸苦症状が出現したため、プランルカスト450mg/日を追加。10日ほどで症状の軽減を認めたものの、早朝の咳発作は完全には消失しなかった。

 「もしや、後発品への処方変更が原因ではないか」と考えた宮崎氏が、7月25日に後発品を先発品に戻したところ、27日から咳発作は完全に消失した。

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 ホクナリンテープには、徐放化のために結晶レジボアシステムという技術が採用されている。だが、これは特許技術のため、後発品には採用されていない。後発品の品質評価に詳しい慶応大薬学部教授の松山賢治氏は、「異なる皮膚吸収システムが、徐放効果に差をもたらしている可能性がある。貼付薬の効果を左右する粘着力も、同薬の後発品にはばらつきがある」と話している。