では、白い恋人六花亭のチョコ、バターサンドが、それに「勝るほど美味しいお菓子はない!」というほど絶品であるかといえば、筆者は決してそうは思わない。個人の感覚によるだろうが、もっと美味しい菓子はいくらでもある。しかし、商用や旅行で北海道を訪れると必ず買ってしまう。それはなぜか。
 アーカーによれば、ブランドには「顧客が認めている、その製品ならではの価値」があるという。「知覚品質」という。客観的に測定可能な価値を「工場品質」という。「知覚品質」とは、それに対して顧客の頭の中にある主観的な評価だ。
 菓子の味に測定可能な絶対値を求めるのは難しいが、それでも比較対象して多くの人が美味しいという菓子は他にもある。それでも「白い恋人」や「六花亭」を評価するのは、「北海道ならでは」という「知覚品質」を買っているのである。