993年、ベトナムで「サオラ」と名づけられた新属新種の哺乳類が発見され、世界中が驚愕した。20世紀も末に近づいたときに、小さなネズミならともかく、肩の高さ90cm、体重約100kgというニホンカモシカほどもある大きな動物が見つかったからだ。幸運にも彼らは、ベトナム戦争時の激しい空爆枯葉剤散布作戦にも耐えて、山奥の深い常緑の森林に隠れ、生き延びてきたものである。