プルガトリウスが生きたのは、恐竜が絶滅した次の時代に当たる暁新世の初期だ。そのころ、植物は果実をつけ始めた。最初期の霊長類が木に登っていたという新事実は、霊長類と花を咲かせる被子植物とが互いを利する形で共に進化したとする説を裏付けるものだとチェスター氏は言う。「植物は種子を拡散するために、霊長類にとって魅力的なものを実らせ始めた。それと時を同じくして、霊長類は樹上生活により特化し始め、木の枝にのぼって果実を採取できるようになった」。

 当時、哺乳類の多くは地上生活をしていたため、木登りの能力はこの生物種にとって食物資源をめぐる競争上の強みになっただろうとチェスター氏は述べる。「おそらくこれら初期霊長類の進化的成功に寄与したと思われる」。