研究を行ったのは名古屋大学大学院生命農学研究科の新美輝幸助教らのグループです。グループでゴミムシダマシという昆虫を詳しく調べたところ、サナギの時期に羽ができるときに働く「ベスティジアル」と呼ばれる遺伝子が、体のいたるところで働いていることが分かりました。この遺伝子が働かないよう操作すると、天敵から身を守るためにあるといわれているサナギの胴の部分の突起がまったくできなくなり、成虫になったときに胸の部分が小さくなりました。反対に、羽ができるのを妨げる遺伝子の働きを抑えると、たくさんの羽が生えてきたということです。昆虫の祖先には多くの羽があったことが化石の研究で分かっていますが、こうした研究結果から、グループでは、多くの羽は進化の過程で完全に失われたのではなく、サナギの突起など別の役目を果たす部分に変化したとしています。新美助教は「昆虫はさまざまな姿をしているが、こうした多様性はかつての羽が体の一部に変化することでできた可能性がある」と話しています。