入居者はしばしば、「自分の子供が家で待っているので、急いで帰らなきゃ」といった考えにとらわれて、施設を出ようとする。従来なら、スタッフがこれを食い止める必要があった。しかし、いまはニセの「バス停」があるので、「あそこにバス停がありますよ」と導くことができるという。すると入居者は、しばらく「バス停」で待っているうちに、気持ちが落ち着くそうだ。入居者が5分ほどそこで待っているのを見て、スタッフが「バスは遅れているようなので、中で待ちましょう」などと声をかけ、施設に戻す。すると、入居者はアルツハイマーで短期記憶が弱っているので、自分が出かけようとしていたことも忘れるという。