解明したのは、愛媛県大洲(おおず)市の県立長浜高校1年で、水族館部に所属する重松夏帆さん(16)と山本美歩さん(16)。

 カクレクマノミスズメダイ科の熱帯魚で、ハタゴイソギンチャクをすみかにする。一方、イソギンチャクは、餌を取ったり身を守ったりするため体の表面にある触手から強い毒を含む針のような刺胞(しほう)を出す。

 水族館部では千匹以上のカクレクマノミを飼育する。2人は、異なる液体がついた指でイソギンチャクに触れると、刺される指と刺されない指があった先輩の実験をヒントにした。

 海水中の物質が関係するという仮説を立て、海水に多く含まれるマグネシウムイオンとカルシウムイオンの濃度を変えた液に触手を入れる実験を重ねた。その結果、マグネシウムの濃度が海水より低い場合のみ刺胞が出ることが判明。触手の表面にあるたんぱく質マグネシウム濃度の低い液体に触れるとスイッチが入り、刺胞が飛び出すと推定した。カクレクマノミの体表の粘液に含まれるマグネシウム濃度を調べると、海水より濃く、近縁のスズメダイの10倍だった。