小野さんは通れる道を選び、無我夢中でハンドルを操作。津波に追われながら、知り合いの高齢者や路肩を走って逃げていた配送会社の従業員13人を荷台に乗せ、西側に向かった。
 中野栄駅近くで歩道橋が見えると、ダンプを乗り捨て、全員で駆け上がった。津波はぎりぎりまで迫って、徐々に引いていった。
 歩道橋で水位が下がるのを待つ間、雪が降ってきた。小野さんは寒さの中でも、「生きている」と実感したという。
 小野さんの知り合いで一緒に歩道橋に上り、難を逃れた主婦小野安子さん(69)は「喜満さんが来てくれなかったら死んでいた。感謝しきれない」と語る。