幼い頃に「うそをつくな」としつけられた人は平均年収が約50万円高い−−。神戸大の西村和雄特命教授(数理経済学)らがインターネット調査でしつけと所得の関係を調べ、13日に発表した。「他人に親切にする」「勉強する」などのしつけでも、同様の傾向だった。西村教授は「しつけを受けた記憶の有無が重要。子供には、必要なしつけを繰り返すことが大切ではないか」と分析している。

 調査会社に登録する国内の18歳以上の男女9万人を対象に今年2月、ネット調査し、1万5949人から回答を得た。幼い頃のしつけで代表的な8項目の記憶の有無や現在の所得を尋ねた。

 その結果、「うそをついてはいけない」というしつけを受けた人は平均年収が約449万円。受けた記憶がないと答えた人は約399万円で、約50万円の差があった。

 「他人に親切にする」「ルールを守る」「勉強をする」というしつけも、受けたという人の年収が15万〜29万円高かった。さらに、これら4種のしつけをすべて受けたという人と、「いずれも受けた記憶がない」とした人を比べると、年収差は約86万円に広がった。

 一方、「ありがとうと言う」「親の言うことを聞く」などは所得に差がみられなかった。逆に、「あいさつをする」は、しつけを受けていないとした人の年収の方が約13万円高かった。【吉田卓矢】