エクセルの前身で標準採用も、宿敵「1-2-3」に破れる

 R1C1参照形式の歴史は、マイクロソフトが手掛けた最初の表計算ソフト「マルチプラン」まで遡る。表計算ソフトの“元祖”と言えば、1979年にダニエル・ブルックリンが開発した「ビジカルク」だが、このビジカルクはもともと、A1参照形式を採用していた。マイクロソフトは、あえてこれに対抗しようとしたのだろう。R1C1参照形式のマルチプランを開発し、新たな“業界標準”としてシェアを拡大しようと目論んだようだ。

 だが、そう簡単には事は進まなかった。マイクロソフトの前に立ちはだかった強大な敵が、ロータス表計算ソフト「1-2-3」だ。伸び悩むマルチプランを尻目に、多彩なグラフ機能やマクロ機能を武器とする1-2-3は、またたく間にトップシェアを獲得する。その1-2-3が採用していたのは、ほかでもないA1参照形式だった。