生保は、このような錯覚を利用してもうけており、貯蓄としての収益率は手数料を引かれるだけ損になる。その手数料は、保険料の35〜62%。テラ銭は競馬で25%、宝くじでも50%だが、生保はそれを上回るマイナスの貯蓄商品なのだ。しかも運用のノウハウもお粗末で、大部分を低利の国債金利1.4%程度)で運用しているため、加入者に払い戻す利率(平均3%)と逆鞘になっており、この損失を死亡時の保険金を保険料より少なく払い戻す「死差益」で埋めている。

著者は、このような詐欺的な生保の商法に挑戦し、営業経費をほとんどかけないネット生保「ライフネット生命保険」を設立し、その副社長になった。「おばちゃん」がいない分、手数料(付加保険料)を極限まで安くおさえ、それをウェブサイトで公開した。これによって、これまで顧客の無知につけ込んでもうけてきた生保業界にも競争が生まれることが期待される。保険に加入することを考えている人には、著者は次のようなアドバイスをしている:

加入は必要最小限にしよう
死亡保障は掛け捨てでよい。貯蓄としては損
医療保障は公的保険でかなりカバーされているので、あまり必要ない
「途中で解約したら損」というのは嘘
必ず複数の会社の保険を比較して選ぼう