この「謎」を解明するため、理研の研究グループはアフリカツメガエルの初期胚を用いて指令因子のコーディンについて詳細な検証を行いました。その結果、コーディンの濃度の高低が直接、各組織を形成していることを実証しました。また、コーディンを分解する酵素が存在してコーディンが常に不安定な状態にあることが分かりました。さらに「シズルド」がコーディンを分解する酵素の働きを阻害することで、コーディンの濃度勾配の傾きを調節していることを突き止めました。大きな胚ではシズルドの濃度が高く、コーディンの分解が抑制されおり、コーディンは緩勾配を形成して大きな胚に適した背腹軸パターンを形成していました。一方、胚のサイズを小さくした場合にはシズルドの濃度が減少し、コーディンは分解が促進され急勾配を形成します。その結果、背原軸パターンは圧縮され、相似形を維することを確認しました。このことは、シズルドの濃度が胚の大きさに比例することで、相似形が維持されていることを示しています。